まず結論:結納は「両家で婚約を固める儀式」、今は約9割が顔合わせ食事会のみ
結納(ゆいのう)とは、両家が結納金や結納品を取り交わし、結婚の約束を正式に固める日本の伝統的な儀式です。かつては婚約の必須プロセスでしたが、ゼクシィ結婚トレンド調査2024(全国推計値)によると、結納を行った人は約7%にとどまり、両家の顔合わせ食事会のみを行うカップルが85.6%と多数派になっています。
結納には、仲人が両家を行き来する格式高い正式結納と、両家が一堂に会してその場で取り交わす略式結納があります。現在行われる結納のほとんどは略式で、男性側の父親が進行役を務めるのが一般的です。結納金の全国平均は95万2,000円で、100万〜150万円が目安。受け取った側は半額程度を「結納返し」として返すのが慣習です。
結納をするかしないかに絶対の正解はなく、決め手になりやすいのは両家の親の意向です。この記事では、結納の意味と当日の流れ、結納金・結納品の相場、そして結納なしで顔合わせ食事会のみにする場合の代替案までを、最新の調査データをもとに解説します。両家が集まる場の実務は両家顔合わせ食事会の記事にもまとめています。
結納とは?意味と由来をわかりやすく
結納とは、両家が金品を取り交わすことで婚約を正式に成立させ、「結婚します」という約束を家と家との間で確かなものにする儀式です。ふたりだけでなく両家が関わる点が、当人同士の口約束や婚約指輪の贈呈だけとは異なります。
語源には諸説ありますが、1400〜1600年ほど前の宮中儀礼「納采(のうさい)の儀」を起源とするといわれ、結婚の際に品物を納め合う風習が武家や庶民へ広がって現在の形になったと考えられています。「結納」という言葉には、両家が「結」びつくために「納」め合う、という意味が込められています。
結納で確認するのは、大きく次の3つです。第一に、両家が婚約の成立を公に認め合うこと。第二に、結納金や結納品という形あるもので約束のしるしを交わすこと。第三に、これから始まる両家の付き合いの第一歩とすることです。宗教的な儀式ではないため、信仰に関係なく行えます。
近年は、この格式を簡略化した略式結納や、金品のやりとりをせずに食事だけを共にする顔合わせ食事会へと形が移っています。とはいえ「両家で婚約を確かめ合う場」という本質は、どの形でも共通しています。結婚の意思を両家に伝える段取り全体については結婚挨拶と両家顔合わせの流れの記事もあわせて確認してみてください。
正式結納と略式結納の違い・当日の流れ

現在の主流は両家が一堂に会する略式結納。男性側の父親が進行役を務めることが多い
結納には「正式結納」と「略式結納」の2つのスタイルがあります。両者の最大の違いは、仲人(なこうど)が両家を行き来するかどうかです。
正式結納は、仲人が男性側と女性側の家をそれぞれ訪ねて結納品を届け、受書を持ち帰るという昔ながらの形式です。両家は当日顔を合わせず、仲人が橋渡し役をすべて担います。格式は高い一方、仲人の負担が大きく、仲人へのお礼(酒肴料)も必要になるため、現在ではほとんど行われません。
略式結納は、料亭・ホテル・レストランなどに両家が集まり、その場で結納品や受書を取り交わす形式です。仲人を立てないことが多く、男性側の父親が進行役を務めます。準備の負担が軽く、両家が直接顔を合わせられるため、今の結納はほぼこの略式です。
略式結納の当日は、次のような流れで進みます。所要時間は結納の儀式そのものが20〜30分ほど、その後の会食を含めて2〜3時間が目安です。
結納品を飾り、両家が着席する
男性側が30分ほど前に会場入りして結納品を上座に飾り付けます。男性側が上座、女性側が下座に、それぞれ本人・父・母の順で着席します。
始めの挨拶
進行役(男性側の父親か仲人)が「本日はおめでとうございます」と挨拶し、結納の儀式を始めます。
男性側から結納品を納める
男性側が結納品と目録を女性側の前へ差し出します。女性側は目録を確認し、両手で受け取ります。
女性側が受書を渡す
女性側が「たしかに頂戴しました」と述べ、受け取ったしるしとして受書を男性側に渡します。
女性側から結納品(結納返し)を納める
同日に結納返しをする場合は、続いて女性側が結納返しの品と目録を差し出し、男性側が受書を返します。後日返す地域もあります。
婚約記念品を披露する
婚約指輪や時計など、ふたりが交換した婚約記念品をその場で披露します。省略することもあります。
締めの挨拶と記念撮影・会食
進行役が結びの挨拶をして儀式を終え、記念撮影のあと祝いの会食へ移ります。
正式・略式のどちらでも、服装は男性側と女性側で格をそろえるのが基本です。正式結納は正礼装、略式結納は準礼装・略礼装が一般的で、両家で事前に「スーツにするか、着物にするか」を相談しておくと当日ちぐはぐになりません。
結納金とは?相場と結納返しの基礎知識

結納金は奉書紙で包み、目録とともに納める。全国平均は約95万円
結納金(ゆいのうきん)とは、男性側から女性側へ贈る、婚約のしるしとしてのお金です。もともとは花嫁の支度金という意味合いがあり、現在は新生活や結婚式の費用にあてられることが多くなっています。奉書紙で包み、「御帯料(おおびりょう)」「小袖料」などと表書きするのが正式な形です。
ゼクシィ結婚トレンド調査2024(全国推計値)によると、結納金の全国平均は95万2,000円で、金額帯としては100万〜150万円未満がもっとも多くなっています。100万円は「1本」と呼ばれ、キリがよく縁起もよいとされるため、選ばれやすい金額です。結納品にかかる費用の平均は約19万円です。
金額には地域差もあります。エリア別に見ると、宮城・山形など東北で高めになる傾向がある一方、北海道は比較的低いといった差が報告されています。金額に迷ったら、両家の親と早めに相談し、地域の慣習にも配慮して決めるのが安心です。
結納金を受け取ったら、女性側は結納返しをします。目安は受け取った額の半額程度(半返し)で、現金のほか、時計やスーツなどの記念品で返す方法もあります。ただし関西では結納返しを1割程度にする、あるいは行わないなど、地域によって考え方が大きく異なります。半返しを前提に、女性側の負担が重くなりすぎないよう両家で取り決めておくとトラブルを防げます。
なお、結納金と混同されやすいのが結婚式当日に贈るご祝儀ですが、この2つはまったく別のものです。ご祝儀の考え方や相場はご祝儀の相場の記事で関係性別に解説しています。
結納品の基本:代表的な9品目とその意味

結納品は一つひとつに長寿・繁栄・良縁の願いが込められた縁起物
結納品(ゆいのうひん)とは、結納金に添えて贈る、縁起をかついだ品々のことです。一つひとつに「長寿」「子孫繁栄」「良縁」などの願いが込められており、水引で華やかに飾られています。関東式は次の9品目が代表的です。
目録(もくろく)
結納品の品名と数量を記した明細書。何を納めるかを一覧にしたもので、これを最初に確認します。
長熨斗(ながのし)
干した熨斗鮑を長く伸ばしたもの。長寿と繁栄への願いを込めた縁起物です。
金包・御帯料(きんぽう・おおびりょう)
結納金を奉書紙で包んだもの。結納品の中心となります。
末広(すえひろ)
白い扇子。末広がりに幸せが続くことと、純潔を願う意味があります。
友白髪(ともしらが)
白い麻糸の束。ともに白髪になるまで仲むつまじく、という願いを表します。
子生婦(こんぶ)
昆布。「よろこぶ」の語呂と、繁殖力の強さから子孫繁栄を願う品です。
寿留女(するめ)
するめ。日持ちすることから、末永い縁と幸せが続くようにとの意味があります。
勝男武士(かつおぶし)
鰹節。男性の強さや、たくましい家庭を築くことを願う縁起物です。
家内喜多留(やなぎだる)
祝いの酒を意味する品。家庭円満で喜びが多くあるように、との願いが込められています。
品目数や名称は地域によって大きく異なり、関西式は品目が豪華で飾りも大ぶりになる傾向があります。全国的には7品目や5品目に簡略化するケースも多く、現在は3品目程度のコンパクトなセットも一般的です。結納品を用意するときは、自分たちの地域の慣習を、両家の親や結納品を扱う専門店に確認しておくと安心です。
結納・略式結納・顔合わせ食事会の違いを比較
「結納をするか、顔合わせ食事会にするか」で迷ったら、それぞれの位置づけをまず整理しましょう。正式結納・略式結納・顔合わせ食事会の3つを、目的や費用の観点で比べると次のようになります。
正式結納・略式結納・顔合わせ食事会の違い
項目 | 正式結納 | 略式結納 | 顔合わせ食事会 |
|---|---|---|---|
位置づけ | 仲人が両家を往復する伝統的な婚約儀式 | 両家が集まり略式で行う婚約儀式 | 食事をしながら親睦を深めるカジュアルな会 |
仲人・進行役 | 仲人が必須。両家は顔を合わせない | 仲人は立てず父親が進行することが多い | 進行役なし。和やかに歓談 |
結納金・結納品 | 正式に取り交わす | 簡略化して取り交わす | 基本的になし(婚約記念品の披露のみのことも) |
場所 | 両家の自宅が基本 | 料亭・ホテル・レストラン | 料亭・ホテル・レストラン |
費用の目安 | 結納品・仲人へのお礼など負担が大きい | 結納金95.2万円+結納品約19万円が目安 | 食事代が中心で結納より抑えやすい |
今の実施状況 | ほとんど行われない | 結納を行う人の中では主流 | 約9割が選ぶ多数派スタイル |
大まかにいえば、格式やけじめを重んじるなら結納、和やかに両家の距離を縮めたいなら顔合わせ食事会が向いています。近年は「結納の要素を一部だけ取り入れた顔合わせ」(食事会の場で婚約記念品を交換する、目録だけ用意するなど)も増えており、両家の希望に応じて中間の形を選ぶこともできます。
結納をする?しない?実施率データと最近の傾向
結納を行うカップルは、いまや少数派です。ゼクシィ結婚トレンド調査2024(全国推計値)では、婚約にあたって「顔合わせ食事会のみ」を行った人が85.6%、「結納と顔合わせ食事会の両方」が5.3%、「結納のみ」が1.7%、「どちらも行わなかった」が6.8%でした。結納を行った人は合計しても約7%にとどまります。
一方で、地域による差は残っています。エリア別に見ると、九州は他の地域より結納を行う割合が高い傾向があり、結納文化が根強く残っている土地では今も一般的です。「うちの地域では結納をするのが当たり前」という親世代の感覚と、「顔合わせだけで十分」という当人世代の感覚がすれ違いやすいのは、この地域差も背景にあります。
X(旧Twitter)やYahoo!知恵袋、発言小町などのQ&A・掲示板でも、「結納なし・顔合わせのみで進めたい自分たちと、結納を望む親との間で温度差がある」という相談が近年目立ちます。実際にあったケースとして、男性側が「堅苦しい結納はなしにしませんか」と提案したところ、女性側の親が「失礼ではないか」と気を悪くしてしまった、という声も見られます。調査でも、結納をした理由として「親から要望があったから」を挙げる人が多く、するしないの判断に親の意向が大きく影響していることがうかがえます。
こうした温度差を避けるコツは、ふたりだけで決めてしまわず、早い段階で両家それぞれの親に希望を確認しておくことです。片方の家が結納を望み、もう片方が乗り気でない場合は、ふたりが間に入って意見をすり合わせ、双方が納得できる形(略式にする、顔合わせに婚約記念品の交換を加える、など)に落とし込むと角が立ちません。
結納なし・顔合わせのみにする場合の代替案

結納なしでも、顔合わせ食事会に記念品の交換を添えれば婚約のしるしになる
結納をしない場合でも、「婚約のけじめ」をつける方法はいくつかあります。多数派の顔合わせ食事会に、次のような要素を組み合わせるのがおすすめです。
婚約記念品を交換する
婚約指輪を女性へ、時計やスーツなどを男性へ贈り合い、顔合わせの場でお披露目します。結納品のかわりに、形として残る婚約のしるしになります。
支度金を渡す
結納金のかわりに、男性側から女性側へ新生活の準備金として「支度金」を渡す方法です。相場は50万〜100万円程度で、渡す・渡さないは両家で相談して決めます。
結婚関連費用を多めに負担する
現金や品物のやりとりをしない代わりに、新居の準備費用や結婚式費用を男性側が多めに持つなど、実質的なサポートで気持ちを示すケースもあります。
両家の顔合わせ食事会をきちんと開く
金品のやりとりはなくても、両家がそろって食事の席を設け、記念撮影や両家の紹介を行えば、婚約を確かめ合う場として十分に機能します。
大切なのは、結納をするかしないかそのものより、「両家が納得しているか」です。支度金や記念品を用意するかどうかも含めて、事前に両家で認識をそろえておけば、後から「本当はこうしてほしかった」というすれ違いを防げます。顔合わせ食事会の当日の段取り・進行・費用分担の実務は両家顔合わせ食事会の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
よくある質問
まとめ:形式より「両家が納得して婚約を祝えるか」を大切に
結納とは、両家が結納金や結納品を取り交わして婚約を正式に固める、日本の伝統的な儀式です。現在は仲人を立てない略式結納が主流で、さらに結納そのものを行わず顔合わせ食事会のみにするカップルが約9割を占めています。結納金の全国平均は95万2,000円、受け取ったら半返しが目安、というポイントを押さえておけば、いざ結納をする場合も落ち着いて準備できます。
結納をする・しないに絶対の正解はありません。大切なのは、両家の親の意向を早めに確認し、ふたりが間に入って納得できる形を選ぶことです。結納でも顔合わせ食事会でも、両家が笑顔で婚約を祝えることが、いちばんのけじめになります。両家がそろう最初の場をどう整えるかは両家顔合わせ食事会の記事を参考に、結婚報告から挨拶までの全体の流れは結婚挨拶と両家顔合わせの流れの記事で確認してみてください。
出典
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